御曹司に海外へ連れ去られ、求愛されました。



私は美容専門学校を卒業して、上京。晴れて夢だった、東京のネイルサロンに就職した。小学生から高校まで、地味で根暗だった自分が嫌で、変わるために美容学校へ進学。オシャレになって、東京でもキラキラしたネイリストになれて、2年ほどは順風満帆だった。


ところが、時代の波でネイルサロンが破綻。次の就職先を探すために、パン屋の店員としてバイトをしていた。そこで、私目当てでよくパン屋に来るのが、長谷部さんだった。店員の女性たちの間でも、長谷部さんは有名で、とてもかっこいい人が来ていると噂になっていた。私もかっこいいとは思っていたけど、それだけだった。どうしてもまたネイリストになりたくて、毎日忙しくしていたし……。


そんな長谷部さんに、私がお店の裏で泣いているところを見られた。いつもの店員さんがいないと思って、カウンターで聞いてみたら、事情を知るパートさんが教えてくれたらしい。私はなかなか就職先が見つからず、体調を崩して落ち込んで……、影で涙をはらはらと零していたのだ。



 
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