御曹司に海外へ連れ去られ、求愛されました。
長谷部さんに見られた時、私は恥ずかしくて顔を隠していた。長谷部さんが私の隣に座ると、特に何もしないで側に居てくれた。優しい人だな、と思って、泣き止んでから顔を上げると、長谷部さんの困り眉が見えて、ふっと笑ってしまった。それで、長谷部さんも少し笑ってくれて……。
「息抜きに、一緒にどこかに行かないか?」
気が緩んだ私は、そんな長谷部さんに付いて行ってしまった。でもたどり着いた先には、何故かプライベートジェット機があり。どこで作ったのか、私のパスポートがあり。無理矢理乗せられ飛ばされ、長谷部さん所有の無人島に来てしまったのだった。バイト先には連絡してあるから、と言われ、リゾート地の別荘のような豪邸に招待され。自動車メーカーの御曹司だと明かされ、そして、
「もしも俺の恋人になってくれたら、日本に返してあげる」
などと言われてしまった。
それで、現在滞在2日目。ビーチでゆっくりしながら、私は口説かれるのを避けるために本を読んでいた。水着は一度着てみたかったブランドのもので、欲に負けて着てしまったけど……別に恋人今欲しくないし!ネイリストの仕事をするのが夢だし!恋人とか必要ないし!でもバカンスのような海には逆らえなくて!
こんな状況になっている……。