御曹司に海外へ連れ去られ、求愛されました。



ずっと無愛想にしていたけど、さっきのドキッとした気持ちが忘れられなくて、後は笑って過ごしてみた。長谷部さんもなんだか嬉しそうだし、いっそ……このまま恋人になってしまおうか。ネイリストの仕事をしたいけれど、恋人がいても大丈夫かも知れない。そう思って。


だけど、夜に事件は起きた。執事さんが慌ててやって来て、メグちゃんが家にいないと報告したのだ。


「メグが!?」


長谷部さんはソファからすぐ立ち上がり、上着を着た。外の雷雨は収まっていない。


「長谷部さん、私も行きます」


「いや、茜ちゃんは残ってて。大丈夫、すぐ見つかると思うから」


そう言って、執事さんと一緒に外へ飛び出してしまった。私は不安は気持ちになったまま、待たされた。けれども、20分経っても、長谷部さんたちは帰って来ない。


(私も行かなくちゃ)


私は外へ出た。メグちゃんが心配だった。何より長谷部さんが心配だった。ライトを持ち、激しい雨に打たれたって構わなかった。あの人に何かあったらどうしよう。メグちゃんだって、執事さんだって心配だ。いつの間にか、私は長谷部さんに心を掴まれていたのだった。




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