御曹司に海外へ連れ去られ、求愛されました。
島の裏側までやってくると、ブルブルと草が揺れてるのに気づく。茂みに入ると、メグちゃんが震えて隠れていた。見つかった!次は長谷部さんだ。どこにいるんだろう。怪我などしていないだろうか。本当にあの人に何かあったら、私──。
メグちゃんを抱えて行く。長谷部さん長谷部さんと叫ぶ。激しい雨に打たれながらも、あの人を探す。思われていたことの幸せに、今更気づいてしまった。
「茜ちゃん!」
声がした。ライトを照らすと、ずぶ濡れの長谷部さんを見つけた。ずっと探し回っていたみたいだ。私とメグちゃんを発見すると、すぐ家まで抱えて連れて行ってもらった。
長谷部さんはずっと、ありがとうありがとうと、私にお礼を言ってくれている。必死に抱きしめていてくれて、私はそこまで愛されてるのだな、と思った。嬉しかった。人生で一番ほっとした。私の口から、想いが零れ落ちる。
「長谷部さん、私はあなたの恋人になります。こんなに心配して、ほっとしたのは初めてでした。だから……、メグちゃんと一緒に、日本に帰りましょう」