大嫌い同士の大恋愛
プロローグ

 ――せんせー!うー(・・)ちゃんが、こう(・・)ちゃんにつきとばされて、ころんだよ!


 うっすらと、今でも思い出すのは、五歳の時の記憶。
 保育園で一緒だった、男の子。
 いつだって、私の髪を引っ張ったり、突き飛ばしたり、遊んでいたおもちゃを取り上げたり、描いていた絵をグチャグチャにしたり――とにかく嫌がらせばかり。

 されている私はといえば、小さい妹のやるコトと同じに見えて、淡々とボサボサになった髪を直し、突き飛ばされても、すぐに立ち上がり、別のおもちゃを持って来たり、紙のシワを手で伸ばしたり――まさに、暖簾に腕押し状態で。


 けれど、そんなある日。


 ――うーちゃん(・・・・・)!なんで、ほかのヤツとあそんでるんだよ!


 そう言われるとともに、ブランコから下りた途端、突き飛ばされ――

 倒れたところに、たまたまあった大きな車のおもちゃに激突。

 見事に、私の腕の骨は、ポッキリと折れてしまったのだった。




 その時から、私は、幼心に思ったのだ。


 ――男なんて、大っ嫌いだ、と。
< 1 / 143 >

この作品をシェア

pagetop