大嫌い同士の大恋愛
27.気づかなかったら、良かったのか
翌日、昨日と同じような時間にやって来た片桐さんは、私をマンションから連れ出すと、停めていた普通車へとうながした。
「――え?」
確か、車通勤では無かったはず。
そう思っていると、助手席のドアを開けられた。
「まとめ買いするなら、荷物が増えるだろうからね。レンタカーだよ」
「あ、ありがとうございます」
私は納得してうなづくと、そのまま、車に乗り込み、シートベルトをつける。
片桐さんは、運転席へと回り込み、同じように座ってベルトをつけると、ギアを入れた。
「――で、どこに行けば良いのかな?」
「あ、えっと……」
いつもなら、近間で歩いて行けるスーパーで買い物袋を両手に抱えながら、だったが――。
「――あの……その前に、見に行きたいものが……」
「え?」
恐る恐る目的を言うと、片桐さんは、クスリ、と、うなづいた。
「――羽津紀さんらしいね」
「良い、ですか?」
「もちろん。僕も気になるしね。――新製品の売れ行きは」
少し前に発売した、調味料パックシリーズは、今、ちょうどキャンペーン中。
遠目の大型スーパーなど、いつもなら行けないような店に、行ってみたいと思ったのだ。
片桐さんは、詳しく説明せずとも、そういう気持ちを理解してくれるから、ありがたい。
そのまま、郊外の大型スーパーを目指し、車は出発した。
「あと少しで見えてくるよ」
「――ハイ」
その後、大型スーパーや、地元密着型スーパーなど、五軒ほどをはしごして、お昼は、最後のショッピングモールのフードコートで食べることにした。
私の手には、買い物バッグが二つ、片桐さんには三つだ。
生鮮品が入っているので、車には置いておけず、持参したのだけれど。
二人で真ん中通路、柱のそばの四人掛け席に腰を下ろすと、お互いに苦笑い。
「――すみません、次から次へと……」
「いや、面白いから」
入る店、入る店、特売が違っていて、更には限定品などもあったので、思わず爆買い状態。
――車で来てもらって、良かった……。
「じゃあ、注文行って来るね」
「あ、ハイ」
私は、一人、戦利品をまとめながら、片桐さんを待つ。
やっぱり、こんな風に仕事を挟むと、何のプレッシャーも無く話せるのに。
心の中でボヤきながらも、スケジュール帳をバッグから取り出すと、メモ欄に、今日回った店のキャンペーンの感想などを、細々と書いていく。
「お待たせ――って、キャンペーンの記録?」
数分ほどそうやって書いていると、片桐さんがトレイを二つ持って戻って来たので、私は慌ててテーブルの上を片づける。
「ハ、ハイ。忘れないうちにと思って……」
「そうだね。まあ、先にお昼にしようか」
そう言われ、うなづく。
目の前に置かれた中華丼は、彩りも鮮やかで、使われている具材も多い。
フードコートとはいえ、県内では数店舗展開している中華料理店だ。
私は、思わず写真を撮ると、見える範囲で中身を記録する。
「羽津紀さん、プライベートだよ?」
「す、すみません……つい……」
苦笑いで海鮮焼きそばに箸をつける片桐さんに言われ、縮こまってしまう。
「まあ、でも、それがキミだからね」
「――……褒めてらっしゃいます?」
「もちろん」
何だか、からかわれている感じもあるが、飲み込む事にする。
そして、まだ、熱々の中華丼にレンゲを入れた。
「――え?」
確か、車通勤では無かったはず。
そう思っていると、助手席のドアを開けられた。
「まとめ買いするなら、荷物が増えるだろうからね。レンタカーだよ」
「あ、ありがとうございます」
私は納得してうなづくと、そのまま、車に乗り込み、シートベルトをつける。
片桐さんは、運転席へと回り込み、同じように座ってベルトをつけると、ギアを入れた。
「――で、どこに行けば良いのかな?」
「あ、えっと……」
いつもなら、近間で歩いて行けるスーパーで買い物袋を両手に抱えながら、だったが――。
「――あの……その前に、見に行きたいものが……」
「え?」
恐る恐る目的を言うと、片桐さんは、クスリ、と、うなづいた。
「――羽津紀さんらしいね」
「良い、ですか?」
「もちろん。僕も気になるしね。――新製品の売れ行きは」
少し前に発売した、調味料パックシリーズは、今、ちょうどキャンペーン中。
遠目の大型スーパーなど、いつもなら行けないような店に、行ってみたいと思ったのだ。
片桐さんは、詳しく説明せずとも、そういう気持ちを理解してくれるから、ありがたい。
そのまま、郊外の大型スーパーを目指し、車は出発した。
「あと少しで見えてくるよ」
「――ハイ」
その後、大型スーパーや、地元密着型スーパーなど、五軒ほどをはしごして、お昼は、最後のショッピングモールのフードコートで食べることにした。
私の手には、買い物バッグが二つ、片桐さんには三つだ。
生鮮品が入っているので、車には置いておけず、持参したのだけれど。
二人で真ん中通路、柱のそばの四人掛け席に腰を下ろすと、お互いに苦笑い。
「――すみません、次から次へと……」
「いや、面白いから」
入る店、入る店、特売が違っていて、更には限定品などもあったので、思わず爆買い状態。
――車で来てもらって、良かった……。
「じゃあ、注文行って来るね」
「あ、ハイ」
私は、一人、戦利品をまとめながら、片桐さんを待つ。
やっぱり、こんな風に仕事を挟むと、何のプレッシャーも無く話せるのに。
心の中でボヤきながらも、スケジュール帳をバッグから取り出すと、メモ欄に、今日回った店のキャンペーンの感想などを、細々と書いていく。
「お待たせ――って、キャンペーンの記録?」
数分ほどそうやって書いていると、片桐さんがトレイを二つ持って戻って来たので、私は慌ててテーブルの上を片づける。
「ハ、ハイ。忘れないうちにと思って……」
「そうだね。まあ、先にお昼にしようか」
そう言われ、うなづく。
目の前に置かれた中華丼は、彩りも鮮やかで、使われている具材も多い。
フードコートとはいえ、県内では数店舗展開している中華料理店だ。
私は、思わず写真を撮ると、見える範囲で中身を記録する。
「羽津紀さん、プライベートだよ?」
「す、すみません……つい……」
苦笑いで海鮮焼きそばに箸をつける片桐さんに言われ、縮こまってしまう。
「まあ、でも、それがキミだからね」
「――……褒めてらっしゃいます?」
「もちろん」
何だか、からかわれている感じもあるが、飲み込む事にする。
そして、まだ、熱々の中華丼にレンゲを入れた。