大嫌い同士の大恋愛
1.最悪の再会
「だからさ、羽津紀も、いい加減オトコ作ろうよー!で、ダブルデートしようよー!」
土曜の夜の居酒屋。
目の前には、入社時からの友人、久保聖が、カクテル三杯目にして、くだを巻き始めた。
私は、いつものコト、と、流しながら、手元のハイボール三杯目を口にする。
お互いに酒の強さは似たり寄ったり。
けれど、聖は、私よりも場の雰囲気や、その日の気分で酔うペースが変わる。
そして、今日は、少々早目で――。
目の前の焼き鳥皮串を一気に頬張りながら、私は、あきれた。
「それより、アンタ、合コンはどうしたのよ、合コンは」
そもそも、今日は、気合入れて合コンだ、と、月曜日から張り切っていたのに。
聖は、私を見やると、はああ、と、ため息をつく。
「それがさー、お流れになっちゃってー!」
そして、そう言いながら、テーブルの隙間に器用に突っ伏した。
「せっかくの一流企業の営業と合コンだって、気合入れてたのにー!」
「それは、残念ね。まあ、来週も入ってたんじゃないの?」
聖にとって、合コンは、呼吸と一緒だ。
昔から、男が途切れた事の無い彼女には、独り身は堪えがたい苦痛だという。
そんな彼女の最後の彼氏とは、去年のクリスマス、相手の浮気が原因で別れたらしい。
最近は、いよいよ限界が近づいているのか、彼氏欲しい、が、毎日呪文のように繰り返されている。
「ホラ、そろそろ自力で帰れなくなるわよ。もう、行きましょ」
「はぁーい……」
同い年のはずなのに、妹のような甘え方をする聖を、あきれながらも放っておけない。
長女気質とは、困ったものだ。
どうにか立ち上がった彼女を支え、会計をしていると、不意に入り口を出た風防室で、きゃあきゃあと、甲高い声が聞こえた。
私と聖が視線を向けると、そこには、ナンパなのか、逆ナンなのかは知らないが、男女四人が固まっている。
――まあ、避けるスペースはあるようだから、早いトコ帰ろう。
そう思い、財布をバッグにしまい――ギョッとした。
土曜の夜の居酒屋。
目の前には、入社時からの友人、久保聖が、カクテル三杯目にして、くだを巻き始めた。
私は、いつものコト、と、流しながら、手元のハイボール三杯目を口にする。
お互いに酒の強さは似たり寄ったり。
けれど、聖は、私よりも場の雰囲気や、その日の気分で酔うペースが変わる。
そして、今日は、少々早目で――。
目の前の焼き鳥皮串を一気に頬張りながら、私は、あきれた。
「それより、アンタ、合コンはどうしたのよ、合コンは」
そもそも、今日は、気合入れて合コンだ、と、月曜日から張り切っていたのに。
聖は、私を見やると、はああ、と、ため息をつく。
「それがさー、お流れになっちゃってー!」
そして、そう言いながら、テーブルの隙間に器用に突っ伏した。
「せっかくの一流企業の営業と合コンだって、気合入れてたのにー!」
「それは、残念ね。まあ、来週も入ってたんじゃないの?」
聖にとって、合コンは、呼吸と一緒だ。
昔から、男が途切れた事の無い彼女には、独り身は堪えがたい苦痛だという。
そんな彼女の最後の彼氏とは、去年のクリスマス、相手の浮気が原因で別れたらしい。
最近は、いよいよ限界が近づいているのか、彼氏欲しい、が、毎日呪文のように繰り返されている。
「ホラ、そろそろ自力で帰れなくなるわよ。もう、行きましょ」
「はぁーい……」
同い年のはずなのに、妹のような甘え方をする聖を、あきれながらも放っておけない。
長女気質とは、困ったものだ。
どうにか立ち上がった彼女を支え、会計をしていると、不意に入り口を出た風防室で、きゃあきゃあと、甲高い声が聞こえた。
私と聖が視線を向けると、そこには、ナンパなのか、逆ナンなのかは知らないが、男女四人が固まっている。
――まあ、避けるスペースはあるようだから、早いトコ帰ろう。
そう思い、財布をバッグにしまい――ギョッとした。