大嫌い同士の大恋愛
私が、片桐さんと工場に向かうという事が、どう変換されたのか、デートする、というウワサになり、一瞬で広まってしまった。
企画室に戻る頃には、チラチラと視線が向けられてしまう。
「おい、羽津紀」
私が自分の席に着き、マウスを手に取ろうとすると、イラついたような江陽に呼ばれた。
「……何回言わせれば気が済むの」
「――……名木沢、サン」
気まずそうに言い直したヤツは、ふてくされたように続けた。
「……片桐班長とデートするのかよ」
「はあ?」
まったく、コイツもウワサを鵜呑みにするタイプだったか。
私は、大きく息を吐くと、ヤツを見上げた。
「どう変換されてるのよ。工場に試作品を見に行くだけよ」
「――仕事終わりにかよ」
「別に良いでしょう。個人的に気になるんだから」
「……なら、オレも行っていいだろ」
「……は⁉」
思わず立ち上がってしまう。
「何言ってんの?!片桐さんは、班長として、企画の進捗を伝えてくれてるの。その一環よ!」
「じゃあ、オレも、研修ってコトで良いじゃねぇか!」
「良くないわよ!アンタ、一班の仕事覚えてる最中でしょ!」
「何だよ、大体、お前がゴネるから、指導係が変えられたんだろうが!」
私は、う、と、言葉に詰まってしまう。
――何だかんだ騒いでいたせいで、最初に社内を案内して終わったんだった。
ジロリと睨まれ、思わず視線を逸らしてしまう。
――ああ、もう。コイツに言い負かせられるなんて、不覚だわ!
渋々、江陽を見やり、私は、うなづく。
「……片桐さんが、許可するんだったら」
「しなくても、ついていくぞ」
「それは止めなさい‼」
反射で突っ込んでしまったが、笑い声が聞こえ、我に返る。
江陽と二人で視線を向ければ、お昼から戻って来た片桐さんがいた。
「――仕方ないから、研修ってコトで良いかな、三ノ宮くん?」
「……どうも」
ふてくされながらうなづく江陽に、片桐さんは、ニッコリと微笑んで返した。
企画室に戻る頃には、チラチラと視線が向けられてしまう。
「おい、羽津紀」
私が自分の席に着き、マウスを手に取ろうとすると、イラついたような江陽に呼ばれた。
「……何回言わせれば気が済むの」
「――……名木沢、サン」
気まずそうに言い直したヤツは、ふてくされたように続けた。
「……片桐班長とデートするのかよ」
「はあ?」
まったく、コイツもウワサを鵜呑みにするタイプだったか。
私は、大きく息を吐くと、ヤツを見上げた。
「どう変換されてるのよ。工場に試作品を見に行くだけよ」
「――仕事終わりにかよ」
「別に良いでしょう。個人的に気になるんだから」
「……なら、オレも行っていいだろ」
「……は⁉」
思わず立ち上がってしまう。
「何言ってんの?!片桐さんは、班長として、企画の進捗を伝えてくれてるの。その一環よ!」
「じゃあ、オレも、研修ってコトで良いじゃねぇか!」
「良くないわよ!アンタ、一班の仕事覚えてる最中でしょ!」
「何だよ、大体、お前がゴネるから、指導係が変えられたんだろうが!」
私は、う、と、言葉に詰まってしまう。
――何だかんだ騒いでいたせいで、最初に社内を案内して終わったんだった。
ジロリと睨まれ、思わず視線を逸らしてしまう。
――ああ、もう。コイツに言い負かせられるなんて、不覚だわ!
渋々、江陽を見やり、私は、うなづく。
「……片桐さんが、許可するんだったら」
「しなくても、ついていくぞ」
「それは止めなさい‼」
反射で突っ込んでしまったが、笑い声が聞こえ、我に返る。
江陽と二人で視線を向ければ、お昼から戻って来た片桐さんがいた。
「――仕方ないから、研修ってコトで良いかな、三ノ宮くん?」
「……どうも」
ふてくされながらうなづく江陽に、片桐さんは、ニッコリと微笑んで返した。