大嫌い同士の大恋愛
そのまま、当たり障りのない会話を続け、企画課の部屋に到着。
一瞬、視線を向けられるが、軽く挨拶を交わしながら自分の席に着いた。
片桐さんは、さっそく、班の人間からいろいろと報告を受けたり、書類を受け取ったりと、忙しそうだ。
私も、自分の机に乗せられている企画書を手に取ると、パソコンを立ち上げる。
――とにかく、江陽の事は考えない。
たとえ――それが、ヤツの気持ちから逃げているのだとしても、かまわない。
恋愛と友情なら――私は、迷わず、友情を取りたいんだ。
「おはようさん、名木沢クン」
すると、神屋課長がやって来て、挨拶がてら、書類を手渡してきた。
「おはようございます、課長。コレは、何でしょうか?」
私は、それを受け取りながら、課長を見上げて尋ねた。
「それね、今度、サングループとコラボしようって案があって。向こうさんからの企画書」
「――……は?」
――一瞬で、心臓が冷えた。
けれど、課長は、それに気づく事なく続ける。
「何か知らないけど、社長同士で盛り上がっちゃったみたいで、ぜひ、前にやったスナックのリベンジしようかってさ」
「え」
私は、チラリと片桐さんに視線を向けてしまった。
――それは、私が、企画課に来る原因になった――あれか。
結局、試作品が不評すぎてボツになり、それきり、スナック菓子へのチャレンジは無くなっていた。
それが、今になって。
けれど、コラボの相手がサングループ、と、聞いて、心当たりがあり過ぎた。
――江陽、一体、何を吹き込んだのよ。
「まあ、ウチで企画書を預かって、詰めてから、向こうさんと、合同でチーム立ち上げる予定なんだよね」
「――……はあ……」
何だか、話の流れ的に嫌な予感しかしない。
「それで、ウチからは四班全員と、キミ、それと――」
あっさりと予想通りの言葉を課長は、口にした。
「三ノ宮くん、今回、コラボ企画のチームに参加してくれないかな」
瞬間、企画課内がざわめく。
事情を知らない人間には、大抜擢。
中には、何で江陽が、という表情も。
その本人は、表情を固くして自分の席から立ち上がった。
「――……承知、しました……」
明らかに――自分の出自が関係している。
そう気づいているんだろう。
一班の班長が、驚きつつもヤツを応援しているのか、肩を叩き、それにうなづいて返している。
「じゃあ、まずは、企画書の詰めだな。――片桐くん、名木沢さんと一緒に頼んだ」
「ハイ」
「え、あ」
当然と言えば、当然。
――けれど、今の私には、避けたい人選だった。
「よろしくね、名木沢さん」
「……よ……よろしくお願いします……」
隣にやって来た片桐さんは、いつものように穏やかに、私に微笑んだのだった。
一瞬、視線を向けられるが、軽く挨拶を交わしながら自分の席に着いた。
片桐さんは、さっそく、班の人間からいろいろと報告を受けたり、書類を受け取ったりと、忙しそうだ。
私も、自分の机に乗せられている企画書を手に取ると、パソコンを立ち上げる。
――とにかく、江陽の事は考えない。
たとえ――それが、ヤツの気持ちから逃げているのだとしても、かまわない。
恋愛と友情なら――私は、迷わず、友情を取りたいんだ。
「おはようさん、名木沢クン」
すると、神屋課長がやって来て、挨拶がてら、書類を手渡してきた。
「おはようございます、課長。コレは、何でしょうか?」
私は、それを受け取りながら、課長を見上げて尋ねた。
「それね、今度、サングループとコラボしようって案があって。向こうさんからの企画書」
「――……は?」
――一瞬で、心臓が冷えた。
けれど、課長は、それに気づく事なく続ける。
「何か知らないけど、社長同士で盛り上がっちゃったみたいで、ぜひ、前にやったスナックのリベンジしようかってさ」
「え」
私は、チラリと片桐さんに視線を向けてしまった。
――それは、私が、企画課に来る原因になった――あれか。
結局、試作品が不評すぎてボツになり、それきり、スナック菓子へのチャレンジは無くなっていた。
それが、今になって。
けれど、コラボの相手がサングループ、と、聞いて、心当たりがあり過ぎた。
――江陽、一体、何を吹き込んだのよ。
「まあ、ウチで企画書を預かって、詰めてから、向こうさんと、合同でチーム立ち上げる予定なんだよね」
「――……はあ……」
何だか、話の流れ的に嫌な予感しかしない。
「それで、ウチからは四班全員と、キミ、それと――」
あっさりと予想通りの言葉を課長は、口にした。
「三ノ宮くん、今回、コラボ企画のチームに参加してくれないかな」
瞬間、企画課内がざわめく。
事情を知らない人間には、大抜擢。
中には、何で江陽が、という表情も。
その本人は、表情を固くして自分の席から立ち上がった。
「――……承知、しました……」
明らかに――自分の出自が関係している。
そう気づいているんだろう。
一班の班長が、驚きつつもヤツを応援しているのか、肩を叩き、それにうなづいて返している。
「じゃあ、まずは、企画書の詰めだな。――片桐くん、名木沢さんと一緒に頼んだ」
「ハイ」
「え、あ」
当然と言えば、当然。
――けれど、今の私には、避けたい人選だった。
「よろしくね、名木沢さん」
「……よ……よろしくお願いします……」
隣にやって来た片桐さんは、いつものように穏やかに、私に微笑んだのだった。