大嫌い同士の大恋愛
19.大嫌いになってやる
ひとまず、会社内でできる話題ではないが、外で話すのも落ち着かず――結局、私の部屋に全員で集まるコトになった。
どうにか四人が入るくらいの広さは、全員同じ造りの部屋に住んでいるので、気にはならないらしいが、私としては、落ち着かない。
今日、この時まで、自分の家に他人を招くなどという、コミュ強者がするような事を、するとは思わなかったのだから。
けれど、やってきた三人は、そんな私の、若干的外れな感想など気にも留めず、深刻な表情を崩さなかった。
私と聖、片桐さんが座り、江陽は入り口付近で立ったままだ。
ヤツのサイズでは、圧迫感が半端ないのでありがたいが。
そして、全員が口を閉じたまま数分――ようやく、聖が、意を決して、片桐さんに告げた。
「――お昼に言ったコトが、すべてなんですけど……詳しくは……」
そう言って、江陽の方を見やる。
ヤツは、うなづき返し、口を開いた。
「人事の――立岩、だったか。その女が、羽津紀のコトをオレの彼女だと思って――危害を加えようとしたんです」
「――何か、原因があったのかな」
片桐さんは、場を繋ぐために出したお茶に目も向けず、江陽に尋ねる。
それには、私が、ため息をつきながら答えた。
「……たぶん……私が、片桐さんと江陽と――二股をかけていると、勘違いしたのだと。……事実、そう口にしていましたし」
「そう……じゃあ、僕にも原因があるね」
視線を下げた彼に、向かいに座っていた私は、身を乗り出して首を振った。
「そ、そんなワケ無いじゃないですか!大体、コイツと私が付き合っている訳、無いでしょう!」
「羽津紀」
江陽は、苦々しく私をにらむ。
それに、同じようににらんで返した。
「――何よ、事実でしょう。……アンタとは、幼馴染――それだけでしょ」
「オレは、好きだがな」
――まるで、挨拶をするように言うな。
気まずくなり、チラリと片桐さんを見やるが、彼は、驚く風も無く、肩をすくめた。
「――だろうね。……動揺していないのを見ると、羽津紀さんは、もう、告白されていたのかな」
「え、あ」
――しまった。
あまりの状況に、取り繕う事すら、頭から抜けていた。
そう思い、今さらながら口を開こうとすると、片桐さんは、口元を上げる。
「まあ、最初は気づいていなかったのを見ると、最近ってところかな?」
「――え」
何、最初って……。
眉を寄せて返すと、片桐さんは、苦笑いで言った。
「最初から、三ノ宮くんがキミを好きだって事は、バレバレだったけど?彼、顔に出やすいタイプみたいだし」
「え」
「今さらながら――鈍いよね、キミ」
そう言われ、私は、そのままテーブルに顔を伏せた。
たぶん、羞恥で顔は真っ赤だろう。
「……羽津紀ー……ホントに、わからなかった?江陽クン、あれだけ、羽津紀しか見てないのに……」
聖の言葉に、勢いよく顔を上げ、反論する。
「わっ……わかる訳、無いでしょう!……そもそも、女嫌いとか言ってたじゃない!」
「だから!お前は特別だって、言っただろうが!」
業を煮やしたのか、江陽は、ズカズカと私の隣にやって来て、腕を取る。
それにつられて顔を上げると、う、と、言葉を詰まらせた。
どうにか四人が入るくらいの広さは、全員同じ造りの部屋に住んでいるので、気にはならないらしいが、私としては、落ち着かない。
今日、この時まで、自分の家に他人を招くなどという、コミュ強者がするような事を、するとは思わなかったのだから。
けれど、やってきた三人は、そんな私の、若干的外れな感想など気にも留めず、深刻な表情を崩さなかった。
私と聖、片桐さんが座り、江陽は入り口付近で立ったままだ。
ヤツのサイズでは、圧迫感が半端ないのでありがたいが。
そして、全員が口を閉じたまま数分――ようやく、聖が、意を決して、片桐さんに告げた。
「――お昼に言ったコトが、すべてなんですけど……詳しくは……」
そう言って、江陽の方を見やる。
ヤツは、うなづき返し、口を開いた。
「人事の――立岩、だったか。その女が、羽津紀のコトをオレの彼女だと思って――危害を加えようとしたんです」
「――何か、原因があったのかな」
片桐さんは、場を繋ぐために出したお茶に目も向けず、江陽に尋ねる。
それには、私が、ため息をつきながら答えた。
「……たぶん……私が、片桐さんと江陽と――二股をかけていると、勘違いしたのだと。……事実、そう口にしていましたし」
「そう……じゃあ、僕にも原因があるね」
視線を下げた彼に、向かいに座っていた私は、身を乗り出して首を振った。
「そ、そんなワケ無いじゃないですか!大体、コイツと私が付き合っている訳、無いでしょう!」
「羽津紀」
江陽は、苦々しく私をにらむ。
それに、同じようににらんで返した。
「――何よ、事実でしょう。……アンタとは、幼馴染――それだけでしょ」
「オレは、好きだがな」
――まるで、挨拶をするように言うな。
気まずくなり、チラリと片桐さんを見やるが、彼は、驚く風も無く、肩をすくめた。
「――だろうね。……動揺していないのを見ると、羽津紀さんは、もう、告白されていたのかな」
「え、あ」
――しまった。
あまりの状況に、取り繕う事すら、頭から抜けていた。
そう思い、今さらながら口を開こうとすると、片桐さんは、口元を上げる。
「まあ、最初は気づいていなかったのを見ると、最近ってところかな?」
「――え」
何、最初って……。
眉を寄せて返すと、片桐さんは、苦笑いで言った。
「最初から、三ノ宮くんがキミを好きだって事は、バレバレだったけど?彼、顔に出やすいタイプみたいだし」
「え」
「今さらながら――鈍いよね、キミ」
そう言われ、私は、そのままテーブルに顔を伏せた。
たぶん、羞恥で顔は真っ赤だろう。
「……羽津紀ー……ホントに、わからなかった?江陽クン、あれだけ、羽津紀しか見てないのに……」
聖の言葉に、勢いよく顔を上げ、反論する。
「わっ……わかる訳、無いでしょう!……そもそも、女嫌いとか言ってたじゃない!」
「だから!お前は特別だって、言っただろうが!」
業を煮やしたのか、江陽は、ズカズカと私の隣にやって来て、腕を取る。
それにつられて顔を上げると、う、と、言葉を詰まらせた。