大嫌い同士の大恋愛
「……何よ」
「……い、いや……」
私が顔をしかめながら見やると、江陽は、すぐに腕を離して隣に座る。
そして、ふてくされながら続けた。
「だから……そういうの、全部スルーされる身にもなれ。……挙句、別のヤツと付き合うとか」
そう言って、ヤツは、片桐さんに視線を向ける。
「……うーん……三ノ宮くんには、少し同情してしまうけど、僕も譲れないから」
「かっ……片桐さん!」
慌てる私に、彼はニコリと、いつもの穏やかな笑みを見せた。
「――どうかな、羽津紀さん。……いっそ、僕と結婚したら、こんな風な中傷や、危険な目にも遭わなくて済むと思うんだけど?」
――また、この人は……どうして、穏やかに、穏やかでなくなるコトを言うの!
「でも、江陽クンがあきらめなきゃ、変わらないんじゃないですかー?」
「まあ、そこは、あきらめてもらうしか無いよ。今なら、まだ、望みはあるかもしれないけど、結婚して――万が一、羽津紀さんが応えたら、完全に不貞行為になっちゃうし――まあ、するとは思えないけど」
私に視線を向けながら、片桐さんは、あっさりと告げる。
――何で、私は、こんな公開プロポーズをされているの!
――ていうか、お付き合いもまともにしていないのに……。
動揺しすぎて、言葉が出ない。
けれど、江陽は、私を抱き寄せ、片桐さんをにらみつける。
「いい加減にしろ。羽津紀が何を思って、アンタと付き合うと言ったのかは知らねぇが、オレは引く気は無ぇ」
「こっ……江陽!アンタがいい加減にしなさいってば!」
「お二人とも、落ち着きましょうよー。今は、羽津紀が大変な目に遭ったばかりですよ?自分のコトばかりしか考えない男達に、羽津紀は任せられませんー!」
あっさりと、割って入った聖は、珍しく不機嫌な表情で、江陽と片桐さんを順ににらんだ。
「ひ、聖」
「言いましたよねー。アタシ、羽津紀が幸せになれなきゃ、二人のどちらも認めませんし」
そう言いながら、私に抱き着く。
「ちょっと、聖?」
「もう、いっそ、アタシがお嫁さんにもらっちゃおうかなー」
「聖⁉」
ギョッとして全員が彼女を見やると、アハハ、と、笑って返された。
「冗談ですー!でも、こんな風に、知らない誰かがあっさりと連れて行くかもしれないって、わかりますよねー?」
「……冗談に聞こえなかったな。……ひとまず、今は置いておこう。――良いよね、三ノ宮くん?」
片桐さんは、苦笑いでうなづき、そう、江陽に言う。
それは、もう、決定事項のように。
そして、江陽もうなづいて返した。
「……い、いや……」
私が顔をしかめながら見やると、江陽は、すぐに腕を離して隣に座る。
そして、ふてくされながら続けた。
「だから……そういうの、全部スルーされる身にもなれ。……挙句、別のヤツと付き合うとか」
そう言って、ヤツは、片桐さんに視線を向ける。
「……うーん……三ノ宮くんには、少し同情してしまうけど、僕も譲れないから」
「かっ……片桐さん!」
慌てる私に、彼はニコリと、いつもの穏やかな笑みを見せた。
「――どうかな、羽津紀さん。……いっそ、僕と結婚したら、こんな風な中傷や、危険な目にも遭わなくて済むと思うんだけど?」
――また、この人は……どうして、穏やかに、穏やかでなくなるコトを言うの!
「でも、江陽クンがあきらめなきゃ、変わらないんじゃないですかー?」
「まあ、そこは、あきらめてもらうしか無いよ。今なら、まだ、望みはあるかもしれないけど、結婚して――万が一、羽津紀さんが応えたら、完全に不貞行為になっちゃうし――まあ、するとは思えないけど」
私に視線を向けながら、片桐さんは、あっさりと告げる。
――何で、私は、こんな公開プロポーズをされているの!
――ていうか、お付き合いもまともにしていないのに……。
動揺しすぎて、言葉が出ない。
けれど、江陽は、私を抱き寄せ、片桐さんをにらみつける。
「いい加減にしろ。羽津紀が何を思って、アンタと付き合うと言ったのかは知らねぇが、オレは引く気は無ぇ」
「こっ……江陽!アンタがいい加減にしなさいってば!」
「お二人とも、落ち着きましょうよー。今は、羽津紀が大変な目に遭ったばかりですよ?自分のコトばかりしか考えない男達に、羽津紀は任せられませんー!」
あっさりと、割って入った聖は、珍しく不機嫌な表情で、江陽と片桐さんを順ににらんだ。
「ひ、聖」
「言いましたよねー。アタシ、羽津紀が幸せになれなきゃ、二人のどちらも認めませんし」
そう言いながら、私に抱き着く。
「ちょっと、聖?」
「もう、いっそ、アタシがお嫁さんにもらっちゃおうかなー」
「聖⁉」
ギョッとして全員が彼女を見やると、アハハ、と、笑って返された。
「冗談ですー!でも、こんな風に、知らない誰かがあっさりと連れて行くかもしれないって、わかりますよねー?」
「……冗談に聞こえなかったな。……ひとまず、今は置いておこう。――良いよね、三ノ宮くん?」
片桐さんは、苦笑いでうなづき、そう、江陽に言う。
それは、もう、決定事項のように。
そして、江陽もうなづいて返した。