大嫌い同士の大恋愛
「――……かた、ぎ、り、さん……?」
彼の名を呼ぶが、若干青くなったその表情に――その視線の先に気づく。
聖がしてくれたスカーフが、激しく動いたせいか、ほどけかけていた。
「……これ……絞められた痕……?」
動揺を隠せないのか、少しだけ震える声で、尋ねられる。
私は、そっと彼から離れると、コクリ、と、うなづいた。
「――……こんなに……痕になるくらい……」
片桐さんは、そう言って、再び私を包み込むように抱き締める。
「……あ、あの、たぶん、すぐ消えるかと……」
「――だから、今日、スカーフしていたんだ」
そう言って、スルリ、と、それを取り去る。
「片桐さん?」
そして、その痕に、唇を寄せた。
「――ごめん。……僕、結構、簡単に考えてた」
「え」
「……殺人未遂だよ、コレ。――確かに、久保さんが血相を変えるのも、理解できるよ」
「あ、あの」
彼は、いくつも、痕に重ねるように口づける。
そこには、少しだけ、痛みを伴って。
「――痛い?」
「……えっと、す、少し……?」
「もうちょっと我慢できる?」
「え?」
「――僕のキスマークで、上書きしてあげるから」
ギョッとする私に構う事なく、彼は、更に首筋に強く吸い付いていく。
「かっ……片桐さん」
「ああ、ここもだね」
私の制止もきかず、どこか、うっとりと、自分のつけた痕を眺める彼は、口元を上げた。
「――僕、こんな風にキスマークつけるの初めてだけど……すごく、興奮するものだね」
「え、あの」
「――まるで、キミが、僕のものになったみたいだ」
その言葉に、心臓が跳ね上がる。
――何だか、言い方がいやらしい。
「羽津紀さん、赤くなってるよ?」
「だ、だってっ……その、言い方……が……えっと……」
ゴニョゴニョと口ごもるが、キッと、彼をにらんだ。
「たっ……敬さんがっ……いやらしい言い方するからっ……」
そう半分ヤケになって叫ぶと、彼は、そのまま、私の肩に顔をうずめた。
「え……か、片桐さん?」
「やめないで」
「え?」
「――名前で呼んで」
「……あの、でも」
そういう関係でもなく……とは思ったが、この状態では否定もしきれない。
私は、ためらいがちに、再び彼の名を口にした。
「……や、やめて?……敬さん……」
「ああ、もう、キミ、ホント天然?魔性?」
「何ですか、それは」
「男、興奮させるの、上手すぎるよ」
何だか、訳の分からない事で責められ、ふてくされるが、そのまま、キスでごまかされた。
彼の名を呼ぶが、若干青くなったその表情に――その視線の先に気づく。
聖がしてくれたスカーフが、激しく動いたせいか、ほどけかけていた。
「……これ……絞められた痕……?」
動揺を隠せないのか、少しだけ震える声で、尋ねられる。
私は、そっと彼から離れると、コクリ、と、うなづいた。
「――……こんなに……痕になるくらい……」
片桐さんは、そう言って、再び私を包み込むように抱き締める。
「……あ、あの、たぶん、すぐ消えるかと……」
「――だから、今日、スカーフしていたんだ」
そう言って、スルリ、と、それを取り去る。
「片桐さん?」
そして、その痕に、唇を寄せた。
「――ごめん。……僕、結構、簡単に考えてた」
「え」
「……殺人未遂だよ、コレ。――確かに、久保さんが血相を変えるのも、理解できるよ」
「あ、あの」
彼は、いくつも、痕に重ねるように口づける。
そこには、少しだけ、痛みを伴って。
「――痛い?」
「……えっと、す、少し……?」
「もうちょっと我慢できる?」
「え?」
「――僕のキスマークで、上書きしてあげるから」
ギョッとする私に構う事なく、彼は、更に首筋に強く吸い付いていく。
「かっ……片桐さん」
「ああ、ここもだね」
私の制止もきかず、どこか、うっとりと、自分のつけた痕を眺める彼は、口元を上げた。
「――僕、こんな風にキスマークつけるの初めてだけど……すごく、興奮するものだね」
「え、あの」
「――まるで、キミが、僕のものになったみたいだ」
その言葉に、心臓が跳ね上がる。
――何だか、言い方がいやらしい。
「羽津紀さん、赤くなってるよ?」
「だ、だってっ……その、言い方……が……えっと……」
ゴニョゴニョと口ごもるが、キッと、彼をにらんだ。
「たっ……敬さんがっ……いやらしい言い方するからっ……」
そう半分ヤケになって叫ぶと、彼は、そのまま、私の肩に顔をうずめた。
「え……か、片桐さん?」
「やめないで」
「え?」
「――名前で呼んで」
「……あの、でも」
そういう関係でもなく……とは思ったが、この状態では否定もしきれない。
私は、ためらいがちに、再び彼の名を口にした。
「……や、やめて?……敬さん……」
「ああ、もう、キミ、ホント天然?魔性?」
「何ですか、それは」
「男、興奮させるの、上手すぎるよ」
何だか、訳の分からない事で責められ、ふてくされるが、そのまま、キスでごまかされた。