雨をとじこめて
「ボク、りんごちゃんの隣に座る」
と、宝良くんがソファーによじ登る。
「りんごちゃんは図書館、よく利用しているの?」
と、空良くん。
(さっきから思っていたけれど)
まさかの名前をちゃん付け呼び!!
あぁ……!
ありがとうございます!!!
「……りんごちゃん?」
「あ、あの、はい! よく来ています」
「そうなんだ。本、好きなんだ?」
「はい、読みたい本がたくさんあって……」
「へぇ、いいね」
空良くんがニッコリ笑ってくれて、私はドキドキしてしまう。
なんてキレイな笑顔なんだろう。
その美しさに、吸い込まれそうになる。
それから、宝良くんが一生懸命にお話をしてくれた。
大好きな絵本の話を、キラキラした瞳で話してくれる。
私は頷きつつ、自分も物語が好きだからなのか、真剣に話を聞いていた。
その間も空良くんは黙って聞いていて、まるで見守られているような錯覚を起こしてしまいそうだった。