雨をとじこめて
しばらくして、宝良くんは話し疲れたからか、うとうとし始めた。
空良くんが宝良くんの靴を脱がして、ソファーに寝かせる。
「もう帰りますか?」
と、空良くんに小声で尋ねる。
「ううん、もう少しここにいる。家に帰ってもまだ誰もいないから。宝良もすぐ起きるかもだし」
空良くんは、
「りんごちゃん、用事があるなら気にしないで帰ってね」
と、時計を見た。
「用事、ないです」
慌てて言う。
だって、まだ私もふたりといたいもん。
「雨、止まないね」
と、空良くんが窓の外を見る。
しばらく黙って窓の外を眺める空良くんは。
どこか物憂げで。
儚いような雰囲気で。
そんな空良くんを見ているだけで。
胸の奥が切ないような。
不思議な感覚があった。
(……好きだなぁ)
かっこいいというか、美しい空良くん。
だけど、それだけじゃなくて。