雨をとじこめて
こんなふうに、小さな弟さんへの優しい態度とか。
さっき知り合ったばかりの私への気遣いとか。
いいなって思うところがあって。
多分、きっとこれからそれが増えるような予感がして。
私の体は小さく震える。
「オレん家、両親が共働きでさ」
と、空良くんが話し始めた。
「はい」
「宝良の保育園の送り迎えは、オレと二つ年下の妹と、交代でやってるんだ」
「妹さんもいるんですね」
「うん。それで、晴れた日は妹が送り迎え。雨が降ったらオレって感じで振り分けたんだけど」
(斬新な振り分けかただ……)
「さて、りんごちゃんに問題」
「えっ?」
「曇りの日はどうしているでしょうかっ?」
空良くんの突然のクイズに、私は少し考えてから、
「……えっ? ちょっと待って、当てたいです」
と、言いつつ、うーん、うーんと考え込む。
しばらくして空良くんが、
「時間切れ〜」
と、笑う。