雨をとじこめて

こんなふうに、小さな弟さんへの優しい態度とか。

さっき知り合ったばかりの私への気遣いとか。



いいなって思うところがあって。

多分、きっとこれからそれが増えるような予感がして。

私の体は小さく震える。




「オレん家、両親が共働きでさ」
と、空良くんが話し始めた。



「はい」

「宝良の保育園の送り迎えは、オレと二つ年下の妹と、交代でやってるんだ」

「妹さんもいるんですね」

「うん。それで、晴れた日は妹が送り迎え。雨が降ったらオレって感じで振り分けたんだけど」



(斬新な振り分けかただ……)



「さて、りんごちゃんに問題」

「えっ?」

「曇りの日はどうしているでしょうかっ?」



空良くんの突然のクイズに、私は少し考えてから、
「……えっ? ちょっと待って、当てたいです」
と、言いつつ、うーん、うーんと考え込む。



しばらくして空良くんが、
「時間切れ〜」
と、笑う。
< 12 / 59 >

この作品をシェア

pagetop