雨をとじこめて

「えーっ、時間切れ!?」

「答えはね、降水確率が50%以上か以下で決めている、でしたー」

「えっ!? それはまた斬新な!!」



なんでも50%以上なら空良くんの番になるらしい。

可笑しくなって、ふたりで笑う。



そんなところへ、中学生くらいの女の子二人組が談話室に入って来た。



「かっこよくない? あの人」
と、ふたりで控えめににキャーキャー言っている。



空良くんのことだ。



(やっぱりかっこいいから、目立つんだなぁ)



そう思っていると、女の子二人組は私を見て、
「一緒にいる人、彼女なのかな?」
と、言っている。



それが聞こえたのか、
「ごめん、りんごちゃんに嫌な思いさせて」
と、空良くんが言った。



「えっ! そんな、全然」

「でも、もし好きな人がいたら、オレとこんな誤解されて嫌でしょ」



嫌なわけない。

好きな人はいるけれど。

それは、空良くんのことだよ。



「……空良くんは、いるんですか? 好きな人」



思いがけず、聞いていた。

口から勝手に出て来た言葉だった。
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