雨をとじこめて
第二話
宝良くんが起きて、私達は談話室から出て来た。
「まだりんごちゃんといたい」
と、宝良くんが名残惜しそうに私の制服のスカートの裾をぎゅっと掴む。
「宝良、りんごちゃんとはまた会えるから」
空良くんが宝良くんと目が合うようにしゃがみ、宝良くんの頭を撫でた。
(『また会えるから』?)
その言葉を頭の中でリピートしてしまう。
(どういう意味?)
「りんごちゃん、図書館にまた来る?」
空良くんが、私を見上げつつ尋ねる。
「はい。もちろん」
「そしたらまた、オレ達と話そう?」
えっ?
いいの?
「ボク、またりんごちゃんとお話する!」
「うん。オレも」
ふたりがニコニコしてくれて、さっきまで雨雲いっぱいだった心が、ぱあっと晴れていくみたいに思えた。
「また図書館で会えたら、その時はよろしくお願いします」
私も笑顔で返事をする。
「雨の日の図書館でね」
と、空良くんが笑う。