雨をとじこめて
「それってさ、姉ちゃんのことが知りたいんじゃん?」
「え?」
「本当にオススメの本が読みたいのかもしれないけどさ、姉ちゃんがそいつのために選んでオススメしてくれる本っていうのを知りたいんじゃん?」
(な、なるほど……)
「だからさ、男だからこういうの好きでしょ、じゃないんだよ。多分」
「……あんた、すごいね」
「姉ちゃんの世界の一部が知りたいんだと思うけど」
「……私の世界……」
話している間に駅に着いてしまった。
「じゃあ」
と、裕悟はイヤホンを耳にセットして、駅のホームへと足早に去って行く。
(なんだ、駅に着いたら別行動なんだ……)
内心寂しく思ってしまった。
翌日、火曜日。
朝目覚めた時から、しとしと聞こえる。
カーテンを開けると、雨が降っていた。
「よっしゃ!」
と、思わず大声を出す。
ドキドキワクワクしながら、私は学校に行き、授業を受け、放課後を待った。