雨をとじこめて

傘を持って、図書館を出る。

ため息混じりに歩き出したその時。




「……って!」



何か聞こえた気がして、立ち止まった。



振り返ると、誰かが走ってこちらにやって来る。



「待って、りんごちゃん!」




パシャパシャと足元を濡らして。

やって来た空良くんを見て。

心の底から安心して。

やっぱり泣いてしまった。



















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