雨をとじこめて

「リンゴジュース?」
と、空良くんがニコッとする。



「はい。この間飲んだらすっごく美味しく感じて、なんだか最近ハマっちゃって」

「あはっ。それ、なんとなくわかるかも」



ストローをさしてひと口飲む。

やっぱり美味しい。



「オレにもひと口ちょーだい」
と、空良くんが言った。



(えっ?)



きょとんとしてしまった。

その間に、空良くんがリンゴジュースを美味しそうに飲んでいる。



「本当だ、美味しい。これはハマるわ」



そう言って、「ありがとう」とジュースを返してくれる。




えっ。

えっ?



(これって、か、間接キ……?)



体温が上昇していくのが、自分でもわかった。



「ん?」
と、空良くんが気づいた。



「あれ? なんで?」

「えっ」

「なんで赤くなってんの?」



もごもごと答えられない私に、空良くんは考え、思い至った様子を見せて、
「あ……。ごめんね」
と、ケロリとした様子。
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