雨をとじこめて

「えっ!? あんた、そういうこと送れちゃう人!?」

「はっ!? いや、オレは無理だよ!!」

「私だって無理だよ!!」

「……それは、……わかるけど、……ダメじゃん?」

「ダメ、かな?」



裕悟は頷きつつ、
「会えるかもしれないチャンス、逃してない?」
と、慎重に言った。



(そうなのかな?)



そうかもしれない。

そしたら、なんだか、もったいない気がしてくる。



「会いたいとは送れなくてもさ、なんかメッセージ送れば?」

「……確かに。交換したのに、緊張で送れてない」



「まずはそこからだな」
と、裕悟に言われて、私はスマートフォンを持って自室に帰った。






ベッドに横になり、スマートフォンを見つめる。

何か、送りたい。

でも、何て?






……雨が降ればいいのに。

そうしたら空良くん達に会えるのに。



今度、雨が降ったら。

雨をとじこめたい。



雨をとじこめて。

私と空良くんの世界にだけ。

ずっと雨を降らせるの。
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