雨をとじこめて

……そんなこと、出来っこないけれど。





水曜日。

やっぱり快晴の空。



「どうなってんだー、今年の梅雨!」
と、ひとりで唸る。



放課後。

日菜乃と実乃理と三人で、街に来ている。

日菜乃がずっと行きたいと言っていたカフェに行く約束をしていたから。



「日菜乃、彼氏と行かなくていいの?」
と、実乃理が聞く。



「んー。りっくん、今忙しいから」

「大学生だっけ?」

「そ。十九歳。入学した大学のサークルが楽しいんだって」



実乃理が「サークルかぁ」と、目をキラキラさせている。



「だから私、今、すっごく愚痴りたいのね。今日は語るからね」
と、日菜乃が珍しく不機嫌な声を出す。





カフェがある繁華街の通りを歩いていたら。

背中に何かがぶつかった。



「あ、すみません」



そう言って見ると、小柄な女の子が慌てた様子で、
「こちらこそすみません」
と謝り、小走りに去って行く。
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