雨をとじこめて
(わぁ、小顔!! 可愛い人!!)
一瞬見ただけなのに、印象的な女の子だった。
空良くんと同じ私立高校の制服を着ている。
なぜか結構な大きさのうさぎのぬいぐるみを抱えている。
(背中にぶつかったのは、あのぬいぐるみかな?)
「りんご、大丈夫?」
「え? うん。可愛い人だなって」
「なんか急いでたね、あの人」
私と実乃理はなんとなく彼女の後ろ姿を目で追いかけていた。
「あ、立ち止まったよ。……待ち合わせしていたのかな? 誰かが来た」
そう言った実乃理が、
「わぁっ、かっこいい人」
と、メガネのフレームを触る。
「……っ!!」
「……りんご?」
日菜乃が私の顔を心配そうにのぞきこむ。
「どうしよう」
と、私は呟いた。
「ん?」
「あの可愛い人と一緒にいる人……」
私立高校の制服。
スラッと高い背。
美しい横顔。
「空良くんだ……」