雨をとじこめて
「えっ!?」
と、ふたりの声が揃う。
「やばっ、かっこいい!」
「日菜乃、今それどころじゃないよ」
「……そっか、そうじゃん! なんで女の子とふたりでいるの!?」
「それ! それだよ!」
私はぼうっとしてくる頭の中で、
(絵になるふたりだな)
って思った。
私が隣にいても。
あんなふうに、お似合いのふたりにはなれない。
ふと、空良くんとの会話が脳内に蘇る。
『……空良くんは、いるんですか? 好きな人』
『うん。いるよ』
(あの子のことかな?)
うさぎのぬいぐるみを見て、空良くんが女の子と楽しそうに話し、笑っている。
(いやだ)
こんなの、見たくない。
耐えられない。
「りんご……」
「ごめん、ふたりとも。私、やっぱり今日は帰るね」
ふたりにそう言い残し、私は踵を返し、空良くん達に背を向けた。