雨をとじこめて

第四話


雨が降った。

ザーザーと雨音がうるさい。



教室の窓から、雨のラインが見える。

ぼんやり見つめていたら、日菜乃が言った。



「図書館、行かないの?」

「えっ?」

「前はほとんど毎日行ってたよね? 晴れた日も、雨降る日も。最近は全然行ってないじゃん」

「……うん」



日菜乃は「はぁっ」とため息を吐いて、
「りんご、手放しちゃダメ」
と、少し厳しい声を出す。



「何のこと?」

「りんごはそもそも、なんで図書館に通っていたの? 読書が好きだからでしょ」

「うん」

「前に言ったよね? りんごの魅力は、一途で誠実なところだって」



私は頷く。

隣でスマートフォンをいじっていた実乃理も、顔を上げて日菜乃を見つめた。



「好きな人が、他の誰かといるのはつらいよ。それはわかる」

「……」

「会いたくないって思うよね? これ以上はつらい思いをしたくないもんね?」



私は無言で頷いた。
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