雨をとじこめて

先生が教室に入って来て、黒板の前に立った。

日菜乃も実乃理も自分の席に戻る。



私はスマートフォンを、机の引き出しの中に片付けた。



(読むの、怖い)



だって。

あの日から時々くれるメッセージを無視し続けて。

雨が降っても、図書館に行かなくて。

……避けてしまっているから。



そのことに気づいた空良くんが。

どんな内容でメッセージを送っているのか。

想像するだけで怖い。






勝手に舞い上がって。

浮かれて。

でも、傷ついて。

避けてしまった。



(ひどいよね?)



空良くんは、あの日。

雨が降る中。

足元を濡らしながらも、走って。

図書館まで会いに来てくれたのに。





考えてみたら、私はなんてひどいことをしているんだろう。



(謝らなくちゃ)






スマートフォンをこっそり開く。

メッセージアプリをタップして、空良くんからのメッセージを開いた。
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