雨をとじこめて

繁華街で空良くんと会ったあの日。

初めてくれたメッセージから読む。



《りんごちゃん、もしかして今日、繁華街にいた? 後ろ姿だったけど、そうなのかなって思って》



(気づいてたんだ)



そう思うと、申し訳なさと一緒に、くすぐったいような、嬉しい気持ちがふわふわと心に浮かぶ。


他のメッセージも開くことにした。



《今日、雨が降ったから図書館で会えるかなって思ってたけど、会えなくて残念》
というメッセージと、また別の日に届いたメッセージには、
《りんごちゃん、忙しい?》
と、ある。



そしてさっき来たメッセージには、こう書いてあった。



《今日、放課後に会いに行くね》



…………。



ん?



(『会いに行くね』って、……えっ?)






「えっ!!?」




驚きの余り、大声を出して立ち上がっていた。

クラス中が注目している。



「何、大声を出しているんだ! 板垣!」
と、先生が教科書を閉じて私を(にら)む。



「す、すみません……」
と、私は赤くなりながら席に着いた。
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