雨をとじこめて

第五話


「えっ……」



空良くんの目が大きく見開く。



「あ、……うん。答えはわかっているから。空良くんには好きな人がいるもんね?」

「えっ」

「ごめんね、突然。困るよね!?」



急激に恥ずかしくなってきて。

私は立ち上がった。



「今までも、ごめんね。あの日、繁華街で可愛い女の子といる空良くんのこと見てから、私、ひとりで嫉妬して不安になって……、って、何言ってるんだろうね」

「……」



空良くんも立ち上がる。



「ちょっと話すようになったからって、ひとりで盛り上がっちゃって、変だよね。でも、図書館に行かなかったことも、メッセージの返事をしなかったことも、ごめんね」


言っているうちに、なんだか惨めな気持ちになってきた。

どんどん涙声になってしまう。



「……どうしよう」
と、空良くんが呟いた。



(あっ……、困ってる)



やばい、こんなの。

つらい。

悲しいよ。



涙がもう溢れてくる。
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