雨をとじこめて

「わっ」
と、驚いた空良くん。



だけど、顔を見なくてもわかった。

空良くんが、ニッコリ微笑んでくれていること。

その証拠に傘を離した空良くんが、優しい腕で私を包んでくれたから。



ぎゅうっと抱きしめられていると。

空良くんの心臓の音が伝わってくる。



雨雲がサァッと動いて、太陽が現れた。

明るい光が心地良い。



「雨、上がったね」
と、呟いたら、
「これからは雨を待たなくても、りんごちゃんに会えるね」
なんて言って、空良くんが笑った。









「こぅらぁあっ!! 板垣っ!! 校門のそばで何をしているんだぁあっ!!」



雰囲気ぶち壊しの先生の怒号が飛んできて、私達はハッとする。



(確かに! 忘れてた!!)



校門から少し離れた場所ではあるものの。

下校中の他の生徒がジロジロと見ている。



私達はパッと離れて、ゆでダコのように更に顔を赤くした。
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