雨をとじこめて




それから。

数日が過ぎた。




雨の降る、放課後。

私は差していた傘をたたんで、図書館に入館した。



お目当ての推理小説と、空良くんへのオススメの本を手に持ち、読書室ではなく、談話室へ向かう。



談話室に入ると、
「りんごちゃん」
と、宝良くんがかけ寄って来てくれた。



「宝良くん、こんにちは」

「こんにちはー! あのねー、今日ねー、愛良(あいら)姉ちゃんもいるんだよー!」



(ん?)



談話室の奥から、こちらに近寄って来る女の子に気づいた。



サラサラのストレートロングヘアに、赤いフレームのメガネをかけた美少女。



「……あ、あの」
と、美少女は私を遠慮がちに見て、
「……安埜 愛良です。兄や弟がお世話になっております」
と、丁寧にお辞儀をした。



(空良くんの妹さん!!)



やっぱり美形な家族なんだ!!

思わずうっとりしてしまいそう。
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