雨をとじこめて

(それにしても……)


「……あ、あの、私……」



(……なぜか声が小さい人だな)



「私……、中学三年生です」

「私は板垣 りんごです。高校二年生です。私こそおふたりにお世話になっています」

「あ……、いえ、そんな……」



俯く愛良さん。

そこへ空良くんがやって来て、
「愛良は人見知りな上に緊張しやすいタイプなんだけど、慣れたら普通に面白い奴だから」
と、説明してくれた。



「お兄ちゃんっ!余計なこと言わないで」

「なんだよ、本当のことじゃん」



愛良さんが宝良くんと手を繋ぎ、
「じゃあ、行くよ」
と、談話室の奥に歩いて行く。



その時宝良くんが、
「えー、りんごちゃんといたいぃっ」
と駄々をこねたけれど、
「なんで!? お姉ちゃんとも一緒にいようよっ」
なんて愛良さんが言っていて、普段から裕悟につれない態度を取られている私としては、愛良さんに共感してしまう。
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