雨をとじこめて
目を閉じると。
窓の外の雨粒の音が聞こえた気がした。
ポツッ、ポツッと。
また私の恋心が重なっていく。
唇が離れて、目を開けると。
「好きだよ」
と、空良くんが言った。
その瞳に、私が映っていて。
心が震えた。
「あーーーっ!!」
と、談話室の奥から宝良くんの声。
私達はハッとして、振り返る。
(宝良くんに見られたかな!?)
そんな心配をよそに、宝良くんは窓の外を指差して興奮した様子だった。
「何、どうした?」
と、空良くん。
「お兄ちゃん、虹だよ。虹が出てるよ!」
愛良さんも空にスマートフォンを向けて、嬉しそうにしている。
「本当だっ」
私も空良くんと窓の外を見つめた。
いつの間にか雨が上がっている。
真っ青な空に、大きな虹がかかっていた。
ーーー完ーーー