元・最下位の妃、2度目の政略結婚で氷の冷酷王に嫁ぎます~「愛は望むな」と言われた出戻り王女が愛され妃になるまで~
◆ 第六章 出戻り王女はもっと夫に近づきたい
アリスは朝日の眩しさに、目を覚ます。
寝返りを打ってうっすらと目を開けると、きっちりと服を着たウィルフリッドが見えた。
(陛下?)
ねぼけまなこでうとうとしていると、ふと髪の毛を触られる感触がして、額に柔らかいものが押し当てられた。
そのまま目をつぶって寝たふりをしていると、カツカツと足音が遠ざかりばたんとドアが閉まる音がする。
部屋の中が静かになったのを確認してから、アリスはパチッと目を開けた。
(今、陛下が──)
アリスは自分で自分の額に触れる。
(キスした?)
目を瞑っていたから、確信はない。けれど、額に確かにやわらかで温かいものが押し当てられた。
アリスの頬はたちまち真っ赤になる。
(陛下、どうしてあんなことを)
きゃーっとなって布団で羞恥に震えていると、パタンとドアが開く音がした。
「アリス様、おはようございます」
「お、おはよう。エマ」