元・最下位の妃、2度目の政略結婚で氷の冷酷王に嫁ぎます~「愛は望むな」と言われた出戻り王女が愛され妃になるまで~
ウィルフリッドはそれだけ言うと、ベッドの上に乗る。いつものようにアリスの隣、ちょうど十センチくらい離れた位置に横たわる。
「おやすみ」
「はい、おやすみなさいませ」
アリスはウィルフリッドを見る。彼はアリスに背を向けるようにして寝ていた。
(今日も指一本触れてくださらない)
アリスはしゅんとする。手を伸ばせば背中に届く距離なのに、彼のことがとても遠く感じた。