元・最下位の妃、2度目の政略結婚で氷の冷酷王に嫁ぎます~「愛は望むな」と言われた出戻り王女が愛され妃になるまで~

「ところで陛下。わたくし、町に行ってみたいのですが、よろしいですか?」
「「町に?」」

 ウィルフリッドとロジャーが同時に、驚いたように言う。

「はい。国民の生活を知るには、実際に彼らの生活を見て話を聞いてみたくて」

 アリスはおずおずと彼らを見上げる。

(ダメかしら?)

 ビクリス国では妃はハーレムから出ることを禁じられていた。
 その習慣からこの一カ月は大人しく城内で過ごしていたが、色々な資料を読むにつれて、実際に国民の生活を見てみたいという思いが強くなっていた。システィス国の王族のしきたりにまだあまり詳しくないので、もしかしたら常識破りなことを言ってしまったかもしれない。

「なるほど」

 ウィルフリッドは考えるように視線を宙に向ける。

「では、案内兼護衛の者を付けよう。それでいいか?」
「はい! ありがとうございます」

 こんなにすんなり許可が出るとは思っていなかった。アリスは笑顔で頷いたのだった。

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