それでも君に恋をする

それでも君に恋をする

1 君との出会い

「七音、いつまで寝てるの!」

アラームと一緒に聞こえたお母さんの声で目が覚める。

窓の向こうの方では逃げやかな小鳥の声も聞こえる。

だいぶ寝込んでしまっていたらしい。慌ててスマホを見ると午前8時と表示されていた。

やばい....わたしは少し憂鬱感を感じながら、急いで支度をして学校へ向かう。

「おはよー!今日は遅かったね」

教室に着くと友達の沙織が声をかけてきた。

わたしもおはよーと今日一番の笑顔で返す。

まだ一日が始まったばかりだけど....。

席に着くと後ろの席の由希も声をかけてきた。

わたしはいつも沙織と由希と一緒にいる。

鞄の中から必要なものを取り出していると沙織が

「うちらさ、この高校もう半年じゃん?好きな人とかいるの?」

突然の質問にわたしたちは驚きながらも由希が答えた。

「好きな人かはまだ分かんないけど、気になってる人ならいるよー沙織は?」

「うちさ、実は好きな人いるんだよね」

二人とももう恋愛しているのか...と心の中でささやいていると、七音は?と二人息ぴったりで聞いてきた。

わたしは今までそういう人...好きな人ができたことがない。

少しうつむきなが「私はいないよ」と答える。

好きな人ってどんな感覚なんだろう。好きってどんな感じなんだろう。
わたしはどんな人を好きになるんだろうか。

そんなことを考えていると授業開始のチャイムがこの校舎全体に響き渡った。

授業中もずっと考えていた。考え事をしていたせいで先生が隣にいることに気づかなかった。
先生は呆れた顔をして私の机の隣に立っていた。

「おい、七音、聞いてんのか。教科書72ページから読め」

先生に言われるがままわたしは慌てて教科書を開く。周りがくすくす笑っているのも気のせいではないだろう。

そしてとうとう昼休み。

わたしたち3人はいつも立ち入り禁止の屋上で弁当を食べている。

いつも通り屋上に行ってみると見慣れない先客が来ていた。

その子を見て二人は

「え、あの人かっこよくない?」と口をそろえて言っていた。

でも、たしかにわたしもかっこいいなと思ってしまった。

何年生だろう。気になったわたしは気づけば彼のもとへ駆け寄っていた。

後に続いて二人も駆け寄ってきた。

思い切ったとはいえ初対面なのでおそるおそる声をかけてみる。

「あの、、初めまして何年生ですか」

突然声をかけたからか、彼の体がぴくりと反応したのがわかった。
さすがに唐突すぎたか。とわたしは少し後悔した。

すると彼は「2年だけど何の用?てか誰?」

そう言い放つとどこかへ走り去って行った。

その様子を見ていた二人は「









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