fuwa

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私の話を聞いてくれますか？私の大好きな女の子の悲しいけど楽しく、そして美しい物語を。
今となっては懐かしい青春の一ページを。
今でもはっきりと思い出すことができるんです。
大観衆の競技場の中立ち尽くす彼女を。
彼女は陸上選手。名前は沙羅。長い髪をなびかせながら、たった今一着でゴールして
荒い息をしながら青空を見上げ立ち尽くしています。

そして沙羅の目から一筋の涙。

右手を突き上げる沙羅を見て、大観衆は沸き立ちます。
でもみんな誰も知らない。彼女の涙の意味を。
そこにいるみんなは彼女はうれしくて泣いている。
全国大会を制した歓喜の涙だと思っている。

でもそれは違うんです。

その涙の意味を知っている私は
複雑な気持ちになりながらタオルを持って沙羅に駆け寄ります。
大粒の涙を流す彼女に私は駆け寄りタオルをかけてあげます。
「ありがとうマネージャー…」
無理やり笑顔を作る私。
「沙羅…おめでとう」
私の言葉を聞いた彼女はにこりと笑いました。
そして目をゴシゴシした彼女はまたどこまでも大きな青空を見上げます。

「ありがとう。君がいたからここまでこれたよ。優弥」

そうつぶやいた後、彼女は満面の笑みを浮かべて
観衆に手を振ります。
沸き立つ観衆。それに答えてさらに大きき手を振る彼女。
彼女を見て複雑な気持ちになる私。
その日の青空は一点の曇りもなくどこまでも青かったのを覚えています。
まるで沙羅と優弥のような、青く澄み切った空を私は一生忘れることはないでしょう。
彼女は笑いながらいつまでも観衆に手を振り続けていました。