溺れて、絆される
運命の二人
英琉と莉瑠。

幼い頃からずっと一緒の、幼なじみ。
いつも一緒にいた二人。
いつの頃からか互いに、ずっと想い合っていた。

21歳の大学四年生の二人は“エルル”“リルル”と呼び合い、同棲している。
(はっきり約束したわけではないが、結婚を視野に入れている)


一際目立つタワマン(御笠財閥所有)
そこに住んでいる、英琉と莉瑠。

特注のベッドに横になって、ぐっすり眠っている二人。

英琉は上半身裸のスウェット姿で、背中には大きな王冠をかぶった鷲が睨みつけている。
更に胸には十字架。そして蛇がインフィニティで巻かれていて“R”のイニシャルも彫られている。

超絶イケメンで、クールでドライな性格。
愛想がなく、いつも何を考えるかわからない。
しかし莉瑠には別人のように心が動き、溺愛している。

そして莉瑠も、容姿端麗でおしとやかな女性。
しかし警戒心が強く、なかなか心を開かない。
注目されたり目立つこと、英琉に拒否されたり嫌われることが何よりも苦痛。
押しが強い人も苦手だ。

英琉と二人だけで、静かにひっそりと生きていくことが夢。
そのため英琉に依存気味だ。


季節は、春。

寝室のカーテンの隙間から、朝日が差し込んでいる。
莉瑠が身じろぎ、目を覚ました。

「んん…」
ゆっくり起き上がる。

昨晩は遅くまで抱き合った、二人。
莉瑠はレースのキャミワンピース姿で、まだ朝晩は肌寒いこの季節には寒い。
ベッド横にあるソファにかかっていたカーディガンをはおった。

「シャワー浴びたいな…」
そう呟いて、まだ寝ている英琉を起こそうとベッドに戻った。

でも寝てるのを起こすのは、気が引ける。
起きるのを待とう。

眠っている英琉の隣に座り、髪の毛をゆっくり撫でる。
少し傷んだ、英琉の銀髪。

「真っ黒だったのになぁー、エルルの髪の毛…
サラサラしてたし…」

そして、背中のタトゥーに目が行く。

英琉の背中の鷲に触れる。
莉瑠を睨んでいる鷲を見て、ブルッと身体を震わせた。

英琉がタトゥーを彫ってきた時は、かなり驚き、正直ひいた。
英琉の耳にあいているピアス、銀髪もそうだ。

莉瑠には理解出来ない。

しかし、反対も出来ない。

英琉が行うこと全て、受け入れてしまう。



英琉は、莉瑠の全てだから――――――
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