溺れて、絆される
「どうして?」

「今日は、エルルと同じがいい気分なの。
だから、エルルがケーキ食べないから食べない」

「………」
英琉は少し考えて……「じゃあ…これは?」と言った。

「チーズケーキ?」

「うん。チーズケーキなら、俺嫌いじゃないし。
一緒に食べよう?」

英琉の提案に、莉瑠は嬉しそうに頷いた。

ケーキと飲み物が来て、英琉がフォークでチーズケーキを少し刺す。

「リルル、あーん」
微笑み、口元へ持っていく。

「……/////あーん…//////」
顔を赤らめて、パクッと食べた莉瑠。
恥ずかしかったが、英琉を独り占め出来てるみたいで気持ちいい。

微笑む莉瑠を見て、英琉も微笑みチーズケーキを一口食べた。

「ん…そんなに甘すぎないからいいね、これ」
「うん!」


「―――――ねぇ、エルル」
「何?」

「写真、撮ってい?」
「いいよ。
でも、ツーショットね」

「え!?ツーショット…!?」

「うん。
だって、写真撮られるの嫌いだから。
でも、リルルとならいくらでも構わないよ」

「ツーショット…」

「とりあえず、出ようか?
俺、煙草吸いたいし」


カフェを出て、人気のない所にある喫煙所。
そこにあるベンチに座った英琉。
自分の膝をポンポンと叩いた。

「リルル、ここ座って?」
そして、莉瑠を横向きに座らせた。

スマホを操作し、カメラを起動する。
片方の手で、莉瑠の腰を支え「もっと俺にくっつけて?」と言った。

莉瑠はおもいきって、英琉の顔にくっつけた。

「はい、撮るよ…3、2、1…!」

カシャッと、シャッター音が響いて二人のアップのツーショットが撮れた。

「ん、いい感じだよ。
ほら!」

英琉が見せてくれた写真は、確かによく撮れていた。
「うん…//////
私にもちょうだい、その写真」

「ん。
その前に、もう一枚いいかな?」

「うん…//////」
同じように顔をくっつける。

「撮るよー」

そう言って、英琉が不意に「あ!リルル!」と少し焦ったように言った。

「え……
―――――――!!!?」

英琉の方を向くと……英琉と口唇が重なり、更にカシャッとシャッター音が響いた。
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