溺れて、絆される
「ん。これも、いい感じ」

「……/////」

「リルル、これもいる?」

「……//////」

莉瑠は、驚きと恥ずかしさで顔が真っ赤だ。

クールな英琉。
外でキスなんて、絶対にしない。
完全な二人きりならあり得るが、いくら人気のないとはいえ、人が全くいないわけではない。

そもそも、外で莉瑠を膝の上に乗せること自体しない。

「//////ど、どうしちゃった…の?」

「何が?」

「エルル、普段こんなことしないでしょ?」

「うーん…今日のリルルおかしいから」

「え?」

「ずっと、切ない顔してる。
だから、安心させたくて」

「………」

私のため…?
莉瑠は、嬉しくて目に涙を溜め英琉に抱きついた。
英琉は、ゆっくり背中を撫でていた。


「あ……」
それからまたデパートをウロウロしていると、莉瑠の目にペアのスウェットが映った。

(可愛い/////
しかも、ペア…//////)

「ん?なんか欲しい物ある?」

「う、ううん!」
(ペアのスウェットなんて、さすがに嫌だよね…)

「嘘」

「え?」

「欲しいんでしょ?
どれ?」

「いや、ほんとに大丈夫だよ!」

「リルルの視線の先は……
は?
青神(あおかん)パーカー!?
ダメ!青神はダメだよ」
莉瑠の視線の先を見て、スウェットの横にあったパーカーを見た英琉。

青神とは……幼馴染み四人組のバンドグループ。
四人とも30代だが、老若男女幅広く大人気のバンドグループだ。

英琉と莉瑠も、好きでよく曲を聞いている。


「え?え?」

「俺以外の男のデザインした服なんか着ないでよ」

「え?でも、青神はエルルも好きでよく聞いてるよね?」

「曲“は”好きだよ。
でも、リルルには俺がいるでしょ?」

「………」

「何?」

「…………フッ…!」

そんな英琉を見て、莉瑠が噴き出した。

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