溺れて、絆される
『今更、どんな面で莉瑠に会えばいい?』

苦痛に顔を歪めながら、英琉が洸介を見る。

『英琉…』

『この2年半、莉瑠を蔑ろにした。
きっと…莉瑠のことだから、俺からの連絡を待ってたはずなんだ。
それに、俺達は沢山人を傷つけて来ただろ?
悪いこともしてきた。
俺達といたら、今後莉瑠に迷惑がかかる。
それに“また”莉瑠に、軽蔑されることが怖い。
…………俺は…莉瑠の想いを踏みにじったんだから』

『………でもお前、莉瑠に会いに行ってたよな?』

『え?』

『俺、知ってんだぞ?
いつもA女子に行って、遠くから莉瑠を見てただろ?』

『知ってたのか?』

『あぁ。
“だからもう一度”言う。
いいのか?
莉瑠のこと!!』



そして一方の莉瑠。

『―――――知ってる?
K高の人がまた、警察に捕まったらしいよー』

『………え…』
(英琉くん、洸介くん?のことかな?)

『不良ばっかだもんね~』
『ナンパされて襲われそうになった子、結構いるらしいよー』
『やだー最低ー!』

『莉瑠ちゃんも、気をつけなよ?』

『え?』

『お姫様は狙われやすいでしょ?』

『大丈夫だよ!』
(英琉くんや洸介くんは、そんなことをしないもん)

『何言ってるの?
あの人達、悪魔みたいなモノよ?』

『は?』 

『汚れてるし、私達の世界とは別物なんだから!』

『………やめてよ!!』

『え……莉瑠、ちゃ…?』


どうして、こんなことを言われなきゃいけないの?

何にも知らないくせに……!


英琉くんは、とってもカッコ良くて、頭も良くて、クールだけど良く人を見てる素敵な人。

洸介くんだって、恐ろしくて乱暴だけど…
本当は、誰よりも優しい人。

あんな事がなかったら、今頃二人はもっと素敵な人になってた。

………って、私どうしてムキになってるんだろう…

私も“自分から”距離を置いて、二人から逃げたのに。

あまりの二人の変わりように、恐ろしくなって逃げた私。


『…………莉瑠ちゃん?』



『…………私―――――――』


“やっぱり、二人の傍にいたい”


莉瑠は、そう思うようになったのだ。
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