溺れて、絆される
しばらくすると、英琉が目を覚ました。

「………ん…」
ゆっくり目を開けた英琉が、莉瑠を捉え見上げる。

「エルル、おはよう……!」

「ん…おはよう…
起きてたの?」

「うん、さっき…」

「そうか…
ん。おいで?」
莉瑠に向かって両手を広げる。

「あ…」

「ん?ギューしよ?」

「あ、あのね…」

「うん。ギュー、嫌?」

「シャワー、浴びたいの」

「ん。じゃあ、浴びておいで?」

「あ…そうじゃなくて…
……//////一緒に浴びよ!」 

「あー、それで待ってたのか(笑)」

「うん//////」

「ん。じゃあ、行こう?」

風呂場に向かい、一緒にシャワーを浴びた。
英琉に髪の毛や身体を洗ってもらう。

莉瑠はとても心地よくて、幸せな気持ちになっていた。

身体も拭いてもらう。
「フフ…」

「ん?」

「幸せ!」

「そう?
良かった」

「エルルも、拭いてあげる!」

「ありがとう。
でも、頭は拭けないでしょ?
リルル、背届かないから(笑)」

「あー!酷ーい(笑)
エルルが中腰になればいいんだよ?(笑)」

「フフ…それは、きついな(笑)」


微笑み合って、リビングに向かった。
「エルル、何食べたい?」

「んー、フレンチトースト食べたいな。
リルルのは甘さ控えめだから、好きなんだ」

「わかった!」

莉瑠がキッチンで調理中、英琉はベランダで煙草を吸っていた。
莉瑠は、ベランダで煙草を吸う英琉を時々見つめながら調理をする。

すると……

玄関ドアが、ガチャガチャと音がして鍵が開いた。
「おはよ!」
ある男が、勝手に鍵を開けて入ってきた。

洸介(こうすけ)くん?」

「莉瑠、土産!
莉瑠の好きな、○○屋のプリンと紅茶!
――――――おっ!
フレンチトースト!?
旨そう〜俺も、食わしてー」

「………うん…」


鷲尾(わしお) 洸介。
英琉と莉瑠の幼なじみ。
俺様で自己中、更にワガママ。

暴走族チーム・TENの総長で、恐ろしい男。

莉瑠にとって、洸介は“幼なじみの友人として”大切だ。

しかし……正直、苦手でもある。

その理由は……
英琉の背中と胸のタトゥーも、洸介が誘ったからだ。
英琉と洸介は中学卒業と同時に、一緒にタトゥーを彫った。

高校も、英琉と洸介は不良校だと有名な高校に入学した。
(莉瑠は、お嬢様校)

莉瑠は英琉がタトゥーを彫ったのも、ピアスをあけたのも、不良校への入学も、銀髪でさえも…洸介のせいだと思っている。

私のエルルを奪った…………と。

だが……実際は、全て“英琉自身が”自分で決め実行したこと。

むしろ洸介は“莉瑠のためにやめとけ”と止めていた。

そして洸介は、英琉よりも他人思いの優しい男。
チーム・TENも、英琉と莉瑠を守るために作った。

それくらい、英琉&莉瑠カップルが大好きなのだ。
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