溺れて、絆される
そして待ち合わせ場所である駅に着く。

「リルル、俺との約束守ってね」

「うん」

「約束事、一度言ってみて?」

「男性の隣には座らない。
亜純から離れずに、お手洗いは亜純について来てもらう。
お酒も飲まない」

「ん。終わったら連絡して?
また迎えに行く」

「わかった!」

「もしなんかあったら、すぐ連絡して?
駆けつけるから」

頷く莉瑠と小さく手を振り別れて、英琉は一度自宅マンションに帰った。

莉瑠は亜純を探す。

「莉瑠〜」
少し離れた所から、亜純が手を振っている。

莉瑠は小走りに駆けていった。

「ごめんね!急に」

「ううん!
男性、どのくらいいる?」

「半々…かな?」

「そ、そっか…」 

「大丈夫!私がいるからね!
傍、離れないでね?」

「うん、離れない!」
亜純の腕を握り、ピタッとくっついた。

町外れにある、BBQ会場。
そこに向かう。

他の人達は集まっていて、BBQの準備をしていた。

「――――お待たせしました!」
亜純が声をかけると、サークルメンバー達が一斉に莉瑠と亜純を見た。

「お疲れ〜」
「亜純ちゃん!やっと来た〜」
「こっち、こっち!」

「………あ!もしかして!噂の!?」

「はい!
高校の時からの友達の、御笠 莉瑠ちゃんです!」

「初めまして、御笠です」
莉瑠は緊張した面持ちで、頭を下げた。

「か、可愛すぎ/////」
「ヤバい、タイプすぎる//////」
「顔面偏差値、エグッ!!」

誰もが、莉瑠に見惚れていた。


「亜純ちゃんと、莉瑠ちゃんは向こうね!」

「はーい!」
亜純に手を繋がれ、椅子に座った。

「何飲む?」
「ビールでいい?」

「はい!
莉瑠は?」
「あ…私は、お酒飲めなくて…」

「じゃあ…ウーロンでいいかな?」

「はい」

ビールとウーロン茶を渡され、乾杯の音頭をとる。

サークルメンバーの興味は、莉瑠に集中する。

「莉瑠ちゃんって、どこの大学?」

「S大学です」

「へぇー!」
「俺、編入しようかな〜(笑)」
「ほんと可愛いね〜!」

「ありがとうございます」
淡々と答える、莉瑠。

心を許した相手でないと、何の感情も湧かないのだ。
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