溺れて、絆される
「――――はい、リルル。
バンザイして?」 

英琉が以前買ったお揃いのスウェットを持ってきて、莉瑠を着替えさせようとしていた。

「自分で、着替えられるよ?
捻挫って言っても、そこまで痛くないし」

「ダメ。
絶対安静って言ったよね?
今日は、全部俺がする」

「………」
(相変わらず、過保護だな//////)

何故か、少し嬉しそうな英琉。
莉瑠はそんな英琉を見て、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになっていた。

英琉に着替えさせてもらい、英琉が淹れた紅茶を飲んでいる莉瑠。

キッチンで片付けをしている英琉を、ジッと見つめていた。

「……/////」

何をしてても、カッコいい英琉。
容姿から、所作まで…何もかもが美しい。

「綺麗…/////」

「ん?何?」
思わず呟いた莉瑠に、英琉が視線を向ける。

「う、ううん!」

「寂しくなった?
ちょっと待って。もう少しで終わるからね」

微笑み言う英琉に莉瑠も微笑み返しながら、助けてくれた男性のことを考えていた。

“また会える”と言っていた、男性。

どうゆうことなのだろう。

あ!そう言えば!
「エルル、ハンカチは?今どこ?」

「ん?そこら辺にあるよ」

「え!?
お洗濯しないと!」

また会えるのであれば、ちゃんとお返ししないと! 
その時に、何かお礼もしないと!

そんなことを考えてながら、ハンカチを探す。
テーブルの下にまるで捨てたように落ちていて、それを拾った莉瑠。
 
しかしキッチンから戻ってきた英琉に、取られてしまう。
「リルル!
絶対安静!
動かないで」

「え?でも…ハンカチ…」

「は?どうするの?このハンカチ」

「お洗濯して、お返ししないと!」

「は?
リルル、まさか…連絡先交換したの?」
英琉の雰囲気が、黒く落ちる。

「ううん」

「じゃあ、どうやって返すの?」

「その方に言われたの。
“また会えますよ”って」


「は?
――――――――」
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