溺れて、絆される
「エルル?」

「………」

また会える?
どうゆうことだ?

「エルル!」

「リルル、ほんとに知らないんだよね?
助けてくれた男のこと」

「うん。知らない方」

「じゃあ、また会えるって何?」

「私もよくわからない。
何処かで会ったことあるのかな?って考えたけど、見覚えないの」

「実家の食事会とかは?
お義父さんの会社関係とか…」

「ううん。
それも考えたけど、見覚えない」

「そっか…
………………ねぇ、リルル」

「ん?」

「変な気、起こさないでね?」

「…………へ?」

「その男に」

「…………フッ…フフ…フフフ…!
当たり前でしょ?
ハンカチをお返しして、ちゃんとお礼をしたいだけだよ?
私は、最初からエルルにしか変な気、起こさないよ?」

英琉のヤキモチを感じ、嬉しそうに笑う莉瑠。

「笑い事じゃない」

「フフ…ごめんなさい(笑)」

「笑いすぎだよ、リルル。
…………いいの?
風呂、入れてあげないよ?」

「え……」

「髪の毛、乾かすのもしないよ?
リルル、手痛いだろうけど頑張ってね」

「え!?
や、やだ…!!
ごめんなさい!
もう笑わないから、許して!?」

「許してほしい?」

「うん、許して?」

「じゃあ…
キスして?」

「うん!する!」

英琉の頬に触れ、顔を近づける。
チュッとリップ音をさせて、キスをした。

「……/////したよ//////」

「は?これだけ?」

「え?これだけって?」

「足りない。
もう一回して?もっと、エロいヤツ」

「……/////」

「ん!リルル!」
目を瞑り、急かす。

「……/////そ、そんな高度な技、出来ませ…ん/////」

「……ったく…
じゃあ俺がするから、口離さないでね」

英琉の綺麗な顔が近づき、口唇が重なる。
そして、次第に深くなった。
莉瑠は英琉の服を握りしめ、必死にキスに答えた。


そして莉瑠は英琉と風呂に入り、髪の毛や身体を洗ってもらった。
上がってからも、髪の毛を乾かしてもらい……

抱き締められて、眠りにつく。

莉瑠にとって、贅沢で幸せな時間だった。


眠った莉瑠を優しく見つめながら、英琉は“莉瑠を助けた男”のことを考えていた。

“また会える”

どうゆう意味なのか?
どこのどいつなのか?

先の見えない不安で、その日は眠れなかった。
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