溺れて、絆される
英琉とエルル 〜莉瑠 side〜
私のエルルは、物凄くカッコいい。
街を歩いていると、振り返り二度見されるくらいに。

基本的にクールでドライな性格で、ポーカーフェイス。

でもね。
私には、よく笑ってくれるの〜!

甘えさせてくれるし、優しいし、いつも傍にいてくれる素敵な恋人。

私だけの特権!


でもエルルには、私の知らない“十紋字 英琉”がいる。


エルルはどちらかと言うと、夜型。
私は夜9時くらいには眠くなっちゃうけど、その後エルルは起きてるみたい。

いったい、何時に寝てるんだろう。

「リルル、寝ないの?」

「………うん、もう少し起きてる」

今日はエルルより後に眠ろうと思い、エルルの腕の中で必死に目を開けていた。

「でも、眠そう」
そう言って、ゆっくり頭を撫でてくる。

「ダメ!エルル」

「ん?」

「頭撫でないで!」

「なんで?」

「寝ちゃうから!」

「うん、寝ていいよ?」

「ダメなの!」

「だから、なんで?」

「今日はエルルより、後に寝る日なの」

「リルルには無理だと思うよ?
俺より後に寝るの」

冷静に言われた。
いやいや、ここは「じゃあ、先に寝るね」じゃないのー!?

「ん?リルル?」

「やっぱりいい!寝る!」

私はふてくされたようにエルルの胸に顔を埋めた。
目を瞑ると、すぐに眠気が襲ってきて意識がなくなってく。

完全に意識がなくなる寸前、エルルの「おやすみ」と言う優しい声と、おデコに口唇の感触がした。


「――――ねぇ、エルルって何時に寝てるの?」
ある日、朝食のパンをかじりながら聞いてみた。

「うーん…2時…くらいかな?」

に、2時!?
私には、絶対無理な時間だ。

「す、凄いね…
私が寝てから、何してるの?」

「うーん…
スマホゲームしたり、株価みたり…
なんか色々」

「そっか」

「あ、大丈夫だよ」

「へ?何が?」

「リルルから離れてないからね」

「え?え?」

「ちゃんと、ずっと傍にいるから。
もし夜中に起きた時、俺がいなかったら寂しがるでしょ?」

「うん。
でも、いいよ。
ずっと横にいるの暇でしょ?
私が眠ったら、自由にしていいよ?
出掛けられるのは嫌だけど…」

でもエルルは「ううん。リルルから離れないよ」と微笑んでくれた。
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