溺れて、絆される
どうしても、そうゆう時聞き耳をたててしまう。

エルルのことを言ってるのではないかと疑ってしまうから。

とにかく、早くこのお店を出よう。

そう思って、私はうどんを頬張った。

「うぅ…」
く、苦し…い…

一気に頬張ったので、喉につかえてしまう。

「リルル?
ゆっくり食べなよ」

「う、うん…」

「時間はあるし、焦らないで大丈夫だよ」

「うん…」

食事が済んで、エルルが本屋に行きたいって言ったので本屋に向かった。

難しそうな本を見ているエルル。

そこでも、近くにいた女性達がエルルを見ていた。
自意識過剰だけど、明らかにこちらを見ている。

「………」

エルルは、私の!!

私はエルルに後ろから抱きついた。

「………っと…!!
リルル?どうしたの?」

「ううん」

「ごめんね、ちょっと待って」

「うん、こうしてるから大丈夫。
ゆっくり見ていいよ!」

「うん」

「嫌?」

「ううん(笑)
もうちょっと待っててね」
そう言って、頭をポンポンと撫でてくれた。


「―――エルルは、優しいね…!」

手を繋いで大学に向かいながら、私はエルルに言った。

「ん?そうかな?
でも、リルルにだけだよ」

「そうだったとしても、優しい…!
だって私、自分でもかなり鬱陶しいなって思うもん」

「うーん…
そうだね。
リルルじゃなかったら、鬱陶しいって思ってたかも?
でも不思議なんだけど、本当に思わないんだ。
むしろ、リルルに対しては嬉しささえ感じるくらい」

「好きだから?」

「うん、好きだからだと思う」

「フフ…そっか!
じゃあ…また“エルルは、私の!”ってしていい?」

「フフ…いいよ。
てか、さっきのそんな意味があったの?」

「うん!
みんなに見せびらかしたの!
“エルルは、私の!”って」

「そっか(笑)
可愛いな」


それから午後の講義も終わり、マンションに帰った私達。

なんだか今日はエルルにくっついていたくて、ずっと鬱陶しいくらいにくっついていた。

買ってきた難しそうな本を読んでいる、エルル。

横から抱きついている私を、エルルは嫌がらずに頭を撫でてくれていた。
< 42 / 54 >

この作品をシェア

pagetop