溺れて、絆される
洸介は恋のライバル?
「――――じゃあ、リルル。
行ってくるね」

「うん!気をつけてね!」

「うん。
なんかあったら、連絡しておいで?」

「うん、大丈夫だよ!
………でも…」

「ん?」

「ギューして?
充電しておかなきゃ!」

「フフ…はい!」
英琉が両手を広げると、莉瑠が抱きついた。

二人は抱き締め合い、英琉が小さく手を振って出ていった。


英琉と莉瑠は夏休みに入り――――英琉は御笠グループの本社に呼ばれ、少しずつ仕事を覚えていくことになった。

莉瑠は「よし!」と気合いを入れ、出掛ける準備をする。

着替えて化粧をし、マンションを出た。

ゆっくり歩き、駅前にある和菓子店でどら焼きを買い、ある古びた一軒家に向かった。

チャイムを鳴らすと「……え!!?もしかして、莉瑠ちゃん!!?洸介ーーー!!」とインターフォンから男性の声がして、洸介が出てきた。

「莉瑠!!お前、どうし…!!」

「お話があるの。
上がっていい?
洸介くんの好きな、○○のどら焼き買ってきたよ!」

「あ……家はダメだ!
汚ねぇし。
出ようぜ!!
…………シュン、ちょっと出てくる!」

「ん!」

「あ…これ、洸介くんと一緒にどうぞ?」

洸介の友人のシュンにどら焼きを渡し、莉瑠は洸介に続いた。


「―――――で?話って?」

「洸介くんに、謝りたくて!」

「は?謝る?
莉瑠、俺に謝らねぇとならないことしてねぇだろ?」

「ううん。
まず中学生の時。
洸介くんが一番辛かったあの時、私は洸介くんから逃げた。
幼なじみとして、洸介くんのこと大切なお友達だったのに、私が傍にいてあげなきゃいけなかったのに、蔑ろにして逃げた。
ごめんなさい……!」

「莉瑠は悪くねぇよ。
俺の方が、距離を置いたんだしよ」

「それとね。
私、誤解してたの」

「ん?」

「エルルが髪の毛を染めたこと、ピアスを開けたこと、タトゥーを入れたこと……
洸介くんのせいにしてた。
洸介くんが、エルルを奪ったって!」

「あぁ(笑)」

「でも、違ったんだね…
むしろ、洸介くんは私のために止めようとしてくれてた。
ごめんなさい!
洸介くんはとっても優しい人で、特にエルルと私を大切にしてくれてたこと知ってたのに、勝手に誤解して悪者みたいに思って、私の方が最低だった」

莉瑠は、洸介に頭を下げ謝罪した。
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