溺れて、絆される
最近、英琉と洸介は一緒にいることが多い。

それは職場が同じだからなだけだが…
莉瑠は、そのことに嫉妬していた。

“いいなぁ~、洸介くん。
エルルと一緒にいれて”


そして今日も……

「ただいま、リルル!」
「莉瑠ー、俺もなんか食わしてー」

英琉と洸介は、一緒に帰ってきた。

「………」
(また、一緒だ…)

「リルルごめんね、いつも…
洸介、勝手についてくるんだ」

「うん、大丈夫」
(………じゃないよ!
やっぱり洸介くん、エルルのこと……)

そして夕食を揃って食べる英琉と洸介。
莉瑠は、洸介をジッと見ていた。

監視しておかないと、英琉に何をされるかわからない。

「………」

「リルル」

「ん?何?」

「どうしたの?」

「え?」

「ジッと洸介見てるし、ご飯進んでないし」

「ううん、別に!」
(洸介くんがエルルに好意があること言って、エルルにも意識されたら困るから黙ってないと) 

「………」
英琉は、そんな莉瑠を首を傾げて見ていた。


洸介が帰って、莉瑠は英琉にべったりくっついていた。

英琉は相変わらず、経済学の本やパソコンで何やら難しいことを調べている。
その間莉瑠は、できる限り英琉の邪魔にならないようにくっついていた。

しばらくパソコン画面とにらめっこしていた英琉が、うーんと伸びをする。

そして莉瑠に「ちょっとごめん」と断り、立ち上がった。

「え?エルル、何処行くの?」

「ん?トイレ」

「早く帰ってきてね」

「うん」

そしてトイレから戻る途中に、コーヒーを淹れようしていた英琉。

そこに莉瑠が来て、何故か怒られた。

「エルル!!何してるの!!?」

「え?コーヒー飲みたいなって。
リルルも飲む?」

「おトイレに行くって言ってたでしょ!?
嘘つき!!」

「え?違うよ?トイレ行って、そのついでにコーヒーを―――――」
「だったら、コーヒー淹れる前に一度戻ってきてよ!!
おトイレって言ったから、ついて行かなかったんだから!!」

「うん、ごめんね。
えーと…コーヒー、どうする?飲む?」

「いらない!
それよりも、ギューして!!」

英琉は莉瑠を抱き締め、優しく背中をさすった。
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