溺れて、絆される
溺れて絆される二人
それから時が流れて……

英琉と莉瑠は無事に大学を卒業し、籍を入れた。
洸介も、順調に警備の仕事に励んでいる。


籍を入れて、一ヶ月。

まだ慣れない社会人としての生活。
毎日英琉は、遅くまで仕事をしていた。

今日も遅くなり、マンションに帰り着いた時には夜9時を過ぎていた。

「―――――ただいま」

「おかえりなさーい!!
エルル、毎日お疲れ様!」

疲れて帰っても、莉瑠の笑顔と明るい声色が英琉に癒しを与えている。

それに莉瑠は英琉がどんなに遅くになっても、起きて待っていて、温かい食事とマッサージまでしてくれる。

英琉にとって、これ以上ない自慢の奥さんだ。

でもまぁ、その代わり……

莉瑠はベッドに入った瞬間、ぐっすり眠ってしまうが……(笑)


「リルル、これ…受け取ってくれる?」

遅い夕食が済み、片付けた莉瑠が英琉の隣に腰掛けた。
そんな莉瑠に、英琉がプレゼントを渡す。

「ん?何、何〜?」

「毎日忙しくて、全然構ってあげられないから。
籍を入れて一ヶ月だし!」

「フフ…!
ありがとう!」

中身は、綺麗なバレッタだった。

「綺麗〜!
ありがとう!早速つけるね!」

莉瑠の頭につき、英琉に「どう?」と見せてくる。

「うん!思った通り、似合ってるよ!」

「フフ…」

「リルル」

「ん?」

「大好きだよ!」

「うん!
私も、エルルが大好き!」

「ずっと、俺の傍にいてね!」

「うん!離れない!」

英琉が莉瑠の頬に触れる。
ゆっくり目を瞑る莉瑠。

英琉の顔が近づき、二人の口唇が重なった。


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